
テレビ東京が2022年4月に開始した新サービス「TVerリアルタイム配信」の認知促進プロジェクト。在京キー局の中で系列局が最も少ないテレビ東京が抱える「全国で視聴できない」という構造的課題を、あえて自虐的に取り上げることでニュースバリューを生み出し、日経新聞全15段カラー広告とTwitterキャンペーンの連動によってSNSトレンド日本1位、ニュースメディア100本以上の掲載を実現した事例です。
背景・課題・目的
テレビ東京は在京キー局5局の中で系列局が6局と最も少なく、全国の多くの地域では地上波で視聴することができません。これは長年の構造的課題でしたが、TVerのリアルタイム配信が開始されることで、インターネットを通じて全国どこからでもテレビ東京の番組をリアルタイムで視聴できるようになりました。
しかし、この新サービスの認知を獲得するにあたっては、単純なサービス告知では在京キー局の新サービスとして埋もれてしまうリスクがありました。テレビ東京ならではの"自虐芸"のブランドイメージを活かしつつ、サービスの本質的価値——「これまで見られなかった地域でも見られるようになる」——を効果的に伝える方法が求められました。
本プロジェクトでは以下を目的に設計しました。
- 話題性のある認知獲得:従来のサービス告知広告では到達しない層にまで情報を届けるため、ニュースバリューのあるクリエイティブで初期インパクトを最大化。
- SNSでの拡散設計:新聞広告を起点としつつ、Twitterキャンペーンとの連動によりオンラインでの二次拡散を狙う。
- テレビ東京のブランド強化:「面白いことをやるテレ東」という既存のブランドイメージと整合する形で、サービス認知とブランド好意度の両方を獲得。

施策内容
新聞広告(日本経済新聞 東京版 / 全15段カラー / 2022年4月10日掲載)
テレビ東京が「全国放送っぽくふるまっていた件に関してのお詫び」と銘打った全面広告を掲載。他の在京キー局と同様に全国で放送されているかのように振る舞ってきたことを"お詫び"するという逆説的な体裁を取りつつ、その解決策として「TVerリアルタイム配信」の開始を告知しました。
テレビ東京が「全国放送っぽくふるまっていた件に関してのお詫び」と銘打った全面広告を掲載。他の在京キー局と同様に全国で放送されているかのように振る舞ってきたことを"お詫び"するという逆説的な体裁を取りつつ、その解決策として「TVerリアルタイム配信」の開始を告知しました。
「なぜ今さらお詫びなのか?」という引っかかりがフックとなり、広告を見た人がSNSで共有・議論する構造を意図的に設計しました。
成果
SNS上の関連ツイートへの「いいね」:累計 11万以上
リツイート:4万以上
Twitterトレンド:日本1位
ニュースメディア掲載:100本以上(転載含む)
朝日新聞(2022年4月24日・社会面)にも掲載
新聞広告賞 優秀賞、日経広告賞 部門最優秀を受賞
プロモーションのポイント
構造的弱みを"ネタ"に転換する逆説のクリエイティブ
「系列局が少ない=全国で見られない」というテレビ局としての弱みを、隠すのではなく大々的に"お詫び"するという発想の転換。この自虐的なスタンスが、テレビ東京の既存ブランドイメージ(「攻めるテレ東」)と高い整合性を持ち、受け手に好意的に受容されました。
- マスメディア × SNS の連動設計
新聞広告という一方向メディアを起点としながら、Twitterキャンペーンで双方向のコミュニケーションを生み出す設計。新聞広告の"驚き"がSNSでの共有動機となり、ハッシュタグが受け皿として機能する二段構えの設計により、オフラインからオンラインへの自然な波及を実現しました。
- "お詫び"という形式がもたらすニュースバリュー
企業が全面広告で"お詫び"するという行為自体がニュースになりやすい構造を活用。しかし内容はネガティブではなく、新サービス告知をポジティブに包み込んだ構成とすることで、メディアが取り上げやすい素材を意図的に作り出しました。

まとめ
本プロジェクトは、テレビ東京が持つ構造的課題を、新サービスの認知獲得に転換した事例です。テレビ局が自らの弱みをオープンにすることで共感を生み、その共感をSNS上での大規模な拡散へと接続しました。マスメディアとデジタルの連動、自虐とブランディングの両立、そして「お詫び」という形式によるニュースバリューの創出——これらの要素を組み合わせた統合的なプロモーション設計が、SNSトレンド1位という成果につながりました。
CHORDの担当領域
- プロデュース(企画・演出の主導)
- ストラテジックプランニング(メディア戦略の策定)
- メディアバイイング設計(代理店との連携)
- SNSキャンペーン設計
制作体制:企画 テレビ東京 / 制作 CHOCOLATE Inc. / 扱い 日本経済社